所詮ぼくはB型人間故、欲しい物は考えずにすぐ買ってしまう衝動買い人間である。
買い物を選ぶ時間はいつも一瞬である。
あれこれ悩む女性の姿は到底理解しがたい。
1.スーツケース
海外出張が多いぼくはスーツケースを消耗品と考えている。
いままで、いくつ買ったか記憶にない。
この前まで使っていたやつは、昨年、青梅市内のデスカウントショップで買った¥3,980のやつで、一緒に行ったうちの娘も「やめなよ!そんな安いやつ」といってバカにしていた代物である。
レジでもパートのおばさんが、値札を見て、ぎょっとして「あら、随分おやすいのね?!」とまで、言われてしまった。
店の人に言われる筋合いはないわい、腹の中で思っていた。
今春南米に行ったとき、マイアミ空港のトランジットで、鍵をドライバーでこじ開けられていた。
同行のM女子曰く「こんなスカイブルーのはでなのを持っているから、狙われんのよ!! 私のを見てよ、パパの使っていたじみーなやつでしょ」
「なんで、こんなんじみーなやつをつかってるのよ?女性の物とは思えない」
「だから良いのよー」と、M女氏。
その後イランに行ったときに、さすがに安もの、見事にふたがずれ落ちて、しまらなくなってしまった。2回使ったのみである。
まあ、レンタルのスーツケースを2回借りたのと料金的には一緒であるからして、それはそれで良いのではないかと納得する。
本社営業部のA君と商社社長のIさんと一緒に、テヘランの街の鞄屋さんを物色して、日本製(と思われる)すてきなスーツケースをみつけた。とても気に入った。
でも、またM女子に怒られそうなどはでなライトグリーンである。
日本で買うと3万円はしそうな気配の奴であるが、なんと値切りの結果、日本円に換算して6,000円であり、満足満足! これは、今だに順調に稼働?している。
2.ブリーフケース
この前まで使っていたやつは、同じく得意のスーパーデスカウントで1980円也の10年位前に買ったハードケースで、長らく愛用していた。
飛行機の座席に下に置いて、ふんずけても、びくともしなく、なかなかよかったが、以前パリで同行した営業部長殿に「なぬ? 1980円!? そんなん、どこで見つけてくるの?」と馬鹿にされたこともあったな。
いまは、テヘランの商社の社長さんの運転手キャマール君が愛用している?はずである。
これは昨年の話であり、そのとき、テヘランの街の土産展で見つけた総革製のブリーフケースは片に丸みがついていて、薄型で、沢山は入らないが、なかなかおしゃれでこれまた、とても気に入った。
交渉して$20で買った物だが、日本ではこれまたまた5万円位はしそうだ!と、本人は信じて疑わない。
難点は湿気が多いと表裏の皮革がぶよぶよになってくることである。
このため、天気の良い日には天日に当てることが義務づけられている。
3.移動用バッグ
2.で出てきた1980円のブリーフケースは、アッタシュケース形である故、成田到着の際、ジーンズを履いていても、税務官に「お仕事ですね、ご苦労様です」と、仕事で出張である事を認識され、つべこべ聞かれない長所があり、手放せなかったが、この前バーレーンに行ったとき、スーツケースが行方不明になって、4日間同じパンツをはいていた教訓から、少し大きめの鞄を持ち歩いて、下着ぐらいは入れておこうと考えていた。
今春、前出テヘラン出張の際、やはり街の鞄街で大きめの、パイロットが持つようなスタイルの総革の鞄を見つけ、いたく気に入った。
中東諸国は革製品工業が盛んで、街中には革製品専門店が林立しているところが多い。
ただし、品質はというとこれがあまりよろしくないので、買うときによくチェックすることが肝要である。
以前にトルコのイスタンブールで買った素敵な靴は、靴底も総皮の手縫いで、とても気に入りかって帰ったが、東京に戻り、履いてみると、なんだか足が「ちくちく」する。
なにか靴の中にごみでも入ったか、とひっくり返してみるも、そうではない。
掃いているうちにどんどん両足の足裏も踵もあっちこっちちくちく痛いではないか・・。
よーく、靴の内部を見ると、内張りの材料の表面の皮から沢山の「棘」が出ているではないか・・ どうも、豚だか猪(そんなの中東にいるかどうか不明だが・・・)の毛の根元の名残が飛び出していることが判明。 掃いているうちに、内張りが内部に張り付いてきて、この棘が顔を出していたのだろう。だから、買ったときは気がつかなかったのだ。
とにかく、痛くて履けないので、「毛抜き」で、一本一本抜いてみたが、次から次から無数の棘が毎日出てきて、どうにもならず、結局殆ど履かずに捨ててしまった。
大体外国の途上国で買う製品なんてそんなもんである。
さて、くだんの総皮の鞄だが、鍵もついていてブラウンの色合いもよく、即買った。
それで、1980円の奴は運転手のキャマール君にくれてしまった。
テヘラン市内にあるA君のアパートについて暫くすると、なにやら、部屋の中に悪臭が漂っている。
「なんか、臭くない?なんの臭い?」
とみなで探すと、ぼくが昼間買ったあの鞄から異臭が放たれているではないか・・・・・。
やっぱり、いくら革製品が安いといっても、なめしの技術がだめらしく、革臭いならまだ良いが、どうにも「うんち」臭い。とほほ・・・・。
A君とI氏に
「茶色の鞄なのに、気がつくと真っ黒で、そばに行ってみたら、蝿だらけ・・・」とか、はたまた、「テヘランの街で持ち歩くと、野犬が集まってくるから危険」とか、さんざん言いたい放題言われたが、とても形が気に入っているので、
「じゃかあしいやい」と一喝して、東京に持ち帰った。
さて、自宅に帰ってみると、かみさんから、臭い臭いの連発で大ひんしゅく。
やれ、寝室に置くな、階段に置くな、と猛烈に責められる。
「いや、なに、こんなもの、時間が経てば臭いなんてとれるよ」
と開き直り、それから土日の晴れた日には自宅2階のデッキでの日干しが始まった。
やがて数ヶ月が経ち、日干しの成果に期待と自信を持ち、
「随分臭いがとれたんじゃあない?」と僕。
「なにいってのよお、早く捨ててきて」とかみさん。
しかしながら、かくして、このすてきな鞄は今回再び、インド行きの機中へと運び込ま
れた。
Singapore SEPT.2000
やっぱし、シンガポールはいつきても良いなあ!
インドとは大違い、街がきれい。
シンガポールのタフな会議が始まり、書類、PCなど、沢山のブツが鞄へと詰め込まれ、炎天
下のなかを歩いて行くと、突如「ボキッ!!」といやなsoundがあり、僕の手のひらの中
には取ってのみが取り残された。
鞄本体は1m後ろの路上でひっくりかえっているではないか!
そんなものなのです。イランの安物というのは・・・・トホホ・・・・。
かくして、たった片道2回のお勤めにて、この臭い鞄は、書類のゴミの山と共にチェックアウトしたシンガポールのホテルの一室に取り残されたのでありました。
そして本日、懲りない男はさらにシンガポールの裏町へと出て行き、またまたすてきな鞄を見つけたのでありました。
色は黒で、なにやら本革のような風合い、PCをいれるところや、パーテーションが沢山
ついていて、ショルダーになっていて、鍵も各所についていて、なになに、「Made in Italy」と書いてあるではないか。 うむ、とてもすてきだ。
値段交渉の結果、80シンガポールドル=¥5,000だ。うーむ、これまた、日本で買えば1万円
以上はするなあ。
一応、前回のことで少しは学習した故、くんくんと、内といい、外側といい、鼻を利か
せてみた。
今度は大丈夫そうだ。さすがシンガポールだわい。
またまた良い買い物をしたなあ・・・と、満足感に浸る。
どうしてこんなに僕って買い物上手なんだろう?