エクアドルでのオイスターには驚いた。

なんぼなんでも、長辺30cm短辺15cmのヤンキーが食う大型ステーキのような殻付きの貝が生ででてこようとは・・・・おまけに、これが「OYSTER」というから笑える。

こういうものは、たとえ客に出されて薦められたとしても、あの手この手で言い訳して、絶対に食っちゃならねえ代物の一つである。

まして、冬の北欧ならいざ知らず、常夏赤道直下の炎天下ビーチレストランの昼食である。 エクアドルという国の名前は、もちろん「Equator:赤道」のスペイン語である。

ぼくは食った振りして「うーーむ珍味だ・・・」とか笑ってゴマしたが、同行したスペイン語が達者な営業のM女子はさすがに営業魂なのか、これを1/3も平らげていた。

「だって、お客が、とっても美味しいから・・・・これを食べずにエクアドルを去るのか・・・とまで、言われたら、仕方ないでしょ。 私だって、とっても嫌だったんだから・・・・」

席が離れていたので、「やめろ!」ともアドバイスできなかったが、案の定夜半から大変なことになったようだ。

翌日の朝食のレストランに彼女だけが約束の時間になっても現れないので、皆で「やはり・・・・」と顔を見あせる。

結局、1週間以上も貝毒で苦しんだとか・・・

そんな光景は海外へ出ればつき物だから、どこへ行くにも腹痛下痢止めの薬は常備して持ち歩いている。

今回はインドの摂氏40度を越える暑さと各種Spiceの入り交じった食事のせいなのかはしらんが、やっぱりいつものように、腹をこわして、苦しんだ。

常備薬の下痢止めはインドにいるときに飲み尽くし、ここシンガポールでは最後の手段である正露丸を使い始めたが、あれはポルトガルのMarkに「送信所のネズミのうんちのほうがまだましだ」

といわれたように、臭いがたまらん。

インドでも現地支店の のANIL君がへんてこな薬をいろいろくれたが、効いているの

かよくわらん。この10日間で何種類もまとめて飲んでいた。

シンガポールに先行して滞在していた仲間のKさんが心配して、街の薬屋でなにやら外国製の薬をぼくのためにわざわざ買ってきてくれた。友達というのはありがたいものだ。

手のひらに乗るような小箱で、フランス製で、仏語でいろいろ表書きがあるが、わからない。

Kさんが言うには、薬屋のおばさんが、2錠づつ一日3回飲むと良く効くと言っていたそうだ。

ふむふむ、正露丸をやるよりはよさそうだと、徹夜でよく見えない目で、中に入っていた説明書を読む。

英語の文もあったので、読もうとしたが、字が小さく眼鏡をかけてもまだ良く見えんし、医学用語の羅列でなんだかわからない。

辞書を引っぱり出して調べてみると、効能は・・・・

「静脈の肥大による・・・・」

「足のむくみ・・・・」

「時には頭痛・・・・」

「下腹の痛み・・・」

「倦怠感・・・・」

「女性特有の・・・・・??!!」

げっ!なんだ、こりゃ??!!

なんだか、良く解らないが、でも、下痢止めの薬とは縁遠いことが書いてあるぞ。

どんどん読んでいって、理解したことは、こっ、こりゃ、「女性の生理痛の薬だ!!」ということがわかった。

「おいおい、Kさん、これって、どう言って買ったの?」

「すぐそこに薬屋があってね、おばさんがいてさ、loose bowlっていったんだけども、通じなかったんで、右手で腹をさすってさ、お尻のほうから下の方にさ、こうやってゼスチャーでやって見せたらさ、おばさんが、「ん?あたなの?」って聞くから、いや、僕じゃない、といったら、これをよこしたんだ」

どうも、おばさんは、彼の奥さんに頼まれて彼が買いに来たと勘違いしたようだ。

これを飲んでも、効きそうに無いので、謹んでKさんにお返しした。

翌日交換してきたと言って、また変な薬をもってきた。

今度はドイツ製で、これまた、わからん。

Kさんによると、交換してくれと言って、事情を説明すると、くだんのおばさんとそこにいた客が腹を抱えて大声でわらっていたとか。

このドイツ製も危ないので、開封せずに持っている。

どなたか、試す勇気のある御仁がいたら進呈しよう。

 

薬